高分子化學
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ポリアミド繊維の紡糸過程での配向について
第1報紡糸速度と紡出糸の二三の性質の関係
高木 康夫樋口 富壮
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1968 年 25 巻 284 号 p. 769-774

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抄録

ナイロン6繊維の溶融紡糸過程での配向の機構を調べるために, 500m/minから4400m/minまでの種々の速度で紡糸したフィラメント糸の二三の物性 (複屈折, X線回折, 密度, 沸とう水収縮率, タテ膨潤度) を測定し, 次のような結果を得た。
1) X線的な結晶の配向度は比較的低速で急増し, 2000m/minですでに理想配向の80%以上になる。これに対し複屈折からみた全配向度は結晶配向度よりかなり低い。
2) 沸とう水収縮率は最初負となり, 1500~2000m/minで極小を経たのち, 以後は紡糸速度とともに増加して平衡値に達する。
3) タテ膨潤度は紡糸速度1500~2000m/minで極大となる。とくに, 2), 3) は延伸の中間段階で見られるこれら諸値の極値現象と類似しており, 紡糸過程においても, 延伸の中間段階 (倍率2~2.5) で生起するのと同様, 紡糸速度1500~2000という中間的な速度で最も不安定な構造になるものと考えられる。

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