高分子化學
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ポリ塩化ビニルの改質に関する研究
第11報アジド基を含むポリ塩化ビニルの性質とエラストマーとの反応
森 邦夫田村 浩作中村 儀郎
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1968 年 25 巻 284 号 p. 775-780

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抄録

PVCの側鎖塩素はアジ化ナトリウムを溶解した液体アンモニア, またはジメチルホルムアミド水溶液中でアジド基と置換してアジド基を含むPVC (I) となる。Iは加熱によって不溶, 不融性に転ずるが橋かけ反応の目安となる数平均橋かけ密度γの増加速度はlのアジド基含量の1乗に比例し, その活性化エネルギーは23~24kcal/molとなる。液状チオコール, ABSまたはMBS樹脂のようなエラストマーとIとの混練物は加熱によってIのアジド基の分解によって生ずるラジカルの作用により, これらエラストマーがIの橋かけ剤として反応し, 引張強度の低下を起こさずに伸度, 衝撃値のすぐれた橋かけPVCを与える。このような傾向はこれらのエラストマーとIを単に混練しただけの試料については認めることができず, Iの橋かけにあずかったエラストマーのソフトセグメントの特徴ある効果と考えられる。

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