高分子化學
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放射線グラフトポリエチレンの機械的強度
貴家 恒男清水 雄一佐々木 隆玉置 寛荒木 邦夫
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1973 年 30 巻 344 号 p. 761-766

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抄録

電子線前照射法で合成した塩化ビニル-酢酸ビニル共グラフトポリエチレンの機械的強度 (引張降伏点強度YS, 衝撃強度IS) と, グラフト鎖成分量 (F [GC] ), 反応に使われ, グラフト鎖の生じているポリエチレン成分量 (F [RPE] ) および未反応ポリエチレン成分量 (F [URP] ) の組成との関連について検討し, つぎのような実験式を得た。
YS=180+2.2・F [GC] -0.37・F [RPE] +0.17・F [URP]
IS=8.0-0.44・F [GC] +0.55・F [RPE] -0.071・F [URP]
これらの式から機械的強度に対しては, グラフト鎖成分ばかりでなく, 反応に使われたポリエチレン成分が大きく寄与していることを明らかにした。非晶性のグラフト鎖が生じた結果溶融成形物では結晶化度が低下し, また結晶状態が変化したための効果と結論した。
また溶融流動性についても検討を行ない, グラフトによる溶融流動性の低下はもっぱらグラフト鎖のような長鎖の分岐が生じたための効果と結論した。

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