1949 年 6 巻 57Supplement 号 p. 371-375
1) ゴムと硫黄のみで加硫反應を行つた試料に就き, 一定時間アセトン抽出を行い, 疾いで架橋型硫黄と附加型硫黄を區別し, 更に加硫條件の異なるゴムに就いて, 弾性と架橋型硫黄量の關係をしらべた。
2) 架橋型硫黄のうちには弾性を強めるものと, 逆に弱めるものが存在するようである。前者は他分子相互間架橋の形成であり, 後者は自己分子内環状構造と推論される。
3) 又, 加硫時に於けるゴム分解は弾性を弱める。これは架橋間分子の切断に伴なう分岐鎖の問題と考えられる。
4) 加硫ゴムの分子間架橋には制約された型式があるように思われる。從つて, ゴムと硫黄系の反應に於て, より多くの架橋を行うには分子切斷による分子鎖要素の運動自由性が必要のようである。
5) エボナイト構造に於ても, 架橋に轉ずる硫黄橋の形態を, 主としてトリチオエーテル型と考える時に, 附加型硫黄の多量に残存することが解釋される。註) この報文に現われた考察は, 本報告第5報の架橋形態の一般化を吟味の材料としている。