高分子論文集
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ポリウレタンエナメル銅線のロー着性に及ぼす鉛, スズ, およびそれらの酸化物の影響
根岸 章雄
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1975 年 32 巻 1 号 p. 27-34

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抄録

2,4-トリレンジイソシアナートとエチレングリコール (EG) から合成したポリウレタン (PU・Mn=1870) の熱分解に及ぼす鉛, スズ, およびそれらの酸化物 (PbO, PbO2, Pb3O4, およびSnO) の影響を熱重量分析, 示差熱分析および熱分解ガスクロマトグラフィーにより検討し, 次の結果を得た. (1) 鉛, 鉛の酸化物はPUの熱分解を促進するが, スズ, 一酸化スズは影響を与えない. (2) PUのN2ガス中での熱分解の初期の見掛けの活性化エネルギーは39kcal/molであり, 一酸化鉛, 二酸化鉛添加試料では36, 四酸化三鉛添加試料では33kcal/molであった. (添加量, 金属として1wt%). (3) 主揮発性分解生成物は炭酸ガス, EG, ジエチレングリコール (DEG) および2,4-ジアミノトルエンであった. 鉛の酸化物添加試料では分解の中期にDEGの生成量が増し, EGは減少した. (4) 一酸化鉛, 四酸化三鉛に固着させたPUを190℃に加熱すると約1640cm-1に新しい吸収帯が現れたことから, 鉛, 鉛の酸化物はポリマーのウレタン結合と不安定な複合体を形成することによりポリウレタンの熱分解を促進するものと推察される.

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