高分子論文集
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炭素繊維複合物の電気伝導性
前田 修山木 準一片山 祐三
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1975 年 32 巻 1 号 p. 42-48

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抄録

炭素繊維複合物の電気伝導率について, 平均繊維接触確率を用い, 繊維と繊維の接触で電極間に生じる繊維行路を求め, これより伝導率を計算した. さらに理論計算に用いたモデルに近い高密度ポリエチレン, ナイロン6系プレス成形品の実験結果と比較検討した. その結果, 次のことが分かった. (1) 理論値と実験値は, 高密度ポリエチレン系では大体一致したが, ナイロン6系とは一致せず, 理論値は実験値より大きい値を示した. これは高分子と繊維の密着性が接触抵抗として関与しているためと考えられる. (2) 理論計算において, 補正のための見掛けの接触抵抗を, 高密度ポリエチレンの場合, 0.5Ω-cm, ナイロン6の場合, 5×105Ω-cmとすると, 理論値と実験値は一致した. (3) 繊維長が長くなると, より低い充てん量で急激に伝導率が大きくなり, 繊維長分布が伝導率に影響することが, 理論計算および実験結果から明らかになった.

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