1975 年 32 巻 1 号 p. 49-54
アンモニア水の存在下でピペラジン-2,5-ジオンの開環重合を封管中で行い, それに及ぼす諸因子の影響と反応機構について検討した. グリシンオリゴマーの収率は封管容積の増大に伴って低下するが, アンモニア水濃度の増大により上昇する. また, 加熱温度が高いほど収率は上昇するが, 加熱時間を延長するとオリゴマーの不可逆的分解が起こり収率は逆に低下する. オリゴマーの重合度は主として加熱温度に依存し, その上昇に伴って増大する. したがって, 封管容積を20cm3とした場合の最適反応条件は, モノマー8.78×10-3mol (1g) に15N水酸化アンモニウム0.3mlを加え, 160℃で5時間加熱した場合であり, 重合度約13のオリゴマーが61%の収率で得られる. 反応機構としては, まずピペラジン-2,5-ジオンが加水分解されてグリシルグリシンとなる. このときアンモニアは触媒作用を呈する. 次いで, グリシルグリシンが適量の水の存在下で部分的に溶解して縮合を繰り返しオリゴマーを生成すると推定した.