高分子論文集
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無配向短繊維強化複合体の粘弾性に及ぼす繰り返し疲労の効果
児玉 峯一
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1975 年 32 巻 1 号 p. 66-70

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抄録

無配向のガラス短繊維で強化したメタクリル酸メチルーエチレングリコールジメタクリレート共重合体 (I) およびスチレンーエチレングリコールジメタクリレート共重合体 (II) の粘弾性におよぼす繰り返し疲労の効果を調べた. (I), (II) ともに70℃以下での繰り返し疲労によって, マトリックス樹脂の主分散温度より高温側に現れる繊維間の摩さつあるいはすべりに基づくものと考えられる分散 (α′分散) が消失あるいは不めいりょうになり, ゴム弾性率が低下するという変化が生じる. しかし, これらの変化は (I) では疲労時の温度がマトリックス樹脂の副分散温度に近い場合に最大になり, (II) では疲労時の温度とともに大きくなる. この現象から, マトリックス樹脂の力学的エネルギー吸収能は複合体の疲労挙動に対して重要な役割を果たすものといえる.

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