1975 年 32 巻 12 号 p. 708-716
ホルムアルデヒドのアニオン重合中におけるポリオキシメチレン (POM) の結晶化について研究した. トリ-n-ブチルアミンの共存下に有機溶剤中と窒素ガス中で重合を行った. 六角形の半分 (half-hexagonal) のPOMの板状結晶が延伸POM上にエピタキシャル成長することが見いだされた. ラメラ状の結晶の厚さは150~200Åである. 重合中に得られたPOMの分子鎖は下地POMの延伸方向に平行であり, 結晶の (1010) プリズム面は下地表面に平行である. 重合中に得られるPOMの結晶の構造を明らかにするため赤外線吸収スペクトルをとった. 単結晶については明確な985と1130cm-1のバンドの強度は, 重合中に得られたPOMについては弱かった. このことは重合中に得られるPOMの結晶が多くのタイモレキュールを含み, そのコンホメーションは結晶中のコンホメーションとあまり変わらないことを示唆している.