1976 年 33 巻 6 号 p. 331-338
放射線により環化橋かけしたシンジオ-1,2-ポリブタジエンを無酸素ふんい気下で熱処理すると, 融点付近で流動することなくさらに高温で熱硬化し透明なポリマーに変わる。この熱硬化はビニル基の関与する環化反応であり, ビニル基の減少速度は温度が高いほど大きく, 反応の初期と後期とでは著しく異なった. 硬化物は比重の増大した無定形物質であった。また, 耐酸化性, 機械的には著しく剛性, 電気的には絶縁破壊の強さ, 耐アーク性が増した. 一方, 未橋かけ物についてラジカル開始剤を用いれば, より低温で熱硬化できることが分かった. 高温での本熱硬化反応におけるビニル基の減少をラジカル機構で説明するとともに, その様式を速度論的に考察した.