高分子論文集
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アジド基を感光基として含むポリマーの感光性に及ぼす分子構造の影響
小関 健一小柴 満信中村 彰男山岡 亜夫角田 隆弘
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1980 年 37 巻 4 号 p. 235-241

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抄録

アジド基を感光基とするポリマーの分子構造と感光特性との関連性を明らかにすることを目的とする. 側鎖長の異なるアジド系モノマーをラジカル重合して感光性樹脂を合成した. ボリマーの分子量特性と感光特性との関係を側鎖長の違いについて検討した. 画像特性はゲル分率により評価した. ゲル分率およびねじれ振り子による動力学的性質を約-70℃から110℃にわたって測定した. 分子量の増加は, 感光度の上昇をもたらし, 同一分子量の場合には側鎖長の長いポリマーほど高感度であることがわかった. ゲル分率特性は, 三つの温度領域に分かれ, 動力学的測定と対応づけると, 側鎖の運動が凍結される副分散温度領域以下では一定のゲル分率を与え, 副分散温度とガラス転移温度との間では大きな温度依存性をもって増大した. このことは感光基を含む側鎖の運動が感光特性に重要な寄与をしていることを示し, 感光性樹脂の分子設計におけるガラス転移温度の重要性をも示している.

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