高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
ポリビニルシンナマートの力学的性質に及ぼす光橋かけの効果
小柴 満信山岡 亜夫角田 隆弘
著者情報
ジャーナル フリー

1980 年 37 巻 4 号 p. 227-233

詳細
抄録

ポリビニルシンナマートの光橋かけによる分子構造の変化に伴う力学的性質の変化を, 緩和弾性率を測定して検討した, 橋かけにより各ゲル分率をもった試料に関しTobolskyと村上のPrecedure Xを用いて最長緩和時間τm, その緩和強度Emを求めるとゲル分率が7.5%以下ではゲル分率の増加に伴い増大し, 終端領域が観察されなくなる7.5%以上でτmは無限大となる. ゴム弾性理論, 絡み合い網目理論から求めた絡み合い結合を含めた橋かけ数, (擬) 平衡弾性率はゲル化に伴い増大し, 橋かけ点間平均分子量の対数はゲル分率が0~7.5%の範囲ではゲル発率に比例して減少し7.5%以上ではこの関係は成立しなかった. 応力緩和により求めたレオロジー的橋かけ数と反応速度式から求めた光化学的に生成した橋かけ数をCharlesbyのゲル化理論から求められる理論的な橋かけ数を比較すると光化学的橋かけ数と理論的橋かけ数の間に比例関係が成立したためゲル生成は主に光化学的橋かけによるもので絡み合い結合の寄与は無視できると思われた.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top