1980 年 37 巻 4 号 p. 255-259
ビフェニル-4,4′-ビスアゾチオフェニルエーテル (BTE) その他の芳香族ビスアゾチオエーテル臨溶液中で光照射すると室温以下で分解してビフェニレンラジカルとより活性の低いチイルラジカルを生成し, メタクリル酸メチルの重合開始作用を示した. n-アルカン溶液中のBTEの光分解の速度定数は, 溶媒粘度の増加とともに低下した. NMP溶液中のBTEの分解速度はベンゼン溶液の場合よりも小さいが, MMAの重合速度 (Rp) はベンゼン溶液中のそれよりも著しく大きい. また生成ポリマーの分子量も高かった. Rpと [BTE] 1/2のプロットは下向きの曲線になり, 一次ラジカルによる再結合停止を含む系に特徴的な変化を示した. ポリマーは少量の硫黄を含み, これはフェニルメルカプト末端基によると考えられる. これらの結果はチイルラジカルが生長鎖との再結合停止にあずかることを示唆する.