高分子論文集
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キトサン存在下でのメタクリル酸のリビングラジカル重合
片岡 清一安東 忠直
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1981 年 38 巻 12 号 p. 821-827

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抄録

キトサン (CS) の存在下でのメタクリル酸 (MAA) のラジカル重合について, 重合速度 (Rp) および生成ポリ (メウクリル酸) (PMAA) の分子量を追究した. 重合は, MAAナトリウム塩 (MAA・Na) の水溶液にCS酢酸塩 (CS・AcOH) を加え, 過硫酸カリウム (KPS) を開始剤に用いて行った. 重合率はPMAAの生成量から求めた. CS・AcOH/MAA・Naのモル比が1.0の場合, 30℃でMAA・Naの重合速度は次の関係によって表される.
[KPS] <3.5×10-3mol/l
Rp=k [KPS]0 [MAA・Na]0.3
[KPS] >3.5×10-3mol/l
Rp=k [KPS]1.3 [MAA・Na]0.8
生成したPMAAの分子量は低開始剤濃度, 60℃以下では重合率の増加とともに増大し, 停止反応を伴わない迅速開始, 逐次重合反応の様子を示した. これらの結果, およびポリマー末端の分析から, マトリックスとして用いたCSの還元性末端側から開始反応が起こっていると推定した.

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