高分子論文集
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ポリエチレンとイソプレンゴムの耐放射線性に及ぼす塩素置換の効果
山田 純男浜谷 健生
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1982 年 39 巻 3 号 p. 133-140

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抄録

塩素化ポリエチレン (PE-Cl2), 塩素化ポリシス-1, 4-イソプレンゴム (PIR-Cl2) と塩化水素化ポリシス-1, 4-イソプレンゴム (PIR-HCl) における放射線安定性に対する塩素の作用を調べる目的で, 60Coからのγ線照射によるガス発生量を測定した. PE-Cl2の場合, 主鎖に沿った枝分れ点や二重結合などの不安定な結合が塩素に置換されるため安定性は増すが, 塩素化度30%以上では低下した. ポリシス-1, 4-イソプレンは, たとえ分解ガスが発生しても吸収作用のある不飽和結合が存在するため, 見掛け上ガス発生量は極めて少なく, 塩化水素化あるいは塩素化することによって, ガス発生量は塩素化度とともに単調に増加した. 同じ塩素化度でPIR-Cl2とPIR-HClとを比較すると, PIR-Cl2の方がわずかにガス発生に対して抑制効果が強い. 実際のPIR-HClはγ線照射に対してかなりのガス発生量がみられることが確認された.

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