高分子論文集
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フッ化ビニリデンと四フッ化エチレン共重合体の熱刺激脱分極電流と焦電性
聞 建勲高松 俊昭
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1983 年 40 巻 3 号 p. 135-141

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抄録

フッ化ビニリデン (84mol%) と四フッ化エチレン (16mol%) よりなる共重合体フィルムを種々の温度, 電圧及び時間を変えて分極しながら冷却した後, 昇温速度 (β) 0.37~15℃/minの範囲で一定に保ち, -170℃から150℃の温度域で熱刺激脱分極電流 (TSDC) を測定した. また分極済みフィルムの焦電率を測定した. 60℃で分極し, βが2.8℃/minの下で昇温した時のTSDCは-110゜, -45゜, 60℃及び135℃付近でピークが現れた. -110℃のピークはポリマーのローカルモードに対応し, -45℃のピークはガラス転移温度における無定形域での配向双極子の緩和によって生ずる. 60℃のピークは分極温度で変位しトラップされた空間電荷の緩和で生じ, 135℃付近のピークは結晶の融点に一致し結晶内の配向双極子の乱れと結晶界面にトラップされた電荷の遊離によって生ずるものと考えられる. 分極済みフィルムを-150゜~+70℃の温度域で昇温, 降温を繰り返すと可逆的な焦電流が現れ, その起因が結晶内の配向双極子密度の変化で生ずるのであろう.

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© 社団法人 高分子学会
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