高分子論文集
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ロール延伸ポリエチレンフィルム再延伸時の有限変形挙動
日比 貞雄前田 松夫平田 慎治林 拓巳山名 崇弘
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1983 年 40 巻 7 号 p. 457-466

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抄録

ロール延伸高密度ポリエチレンフィルムを, そのロール軸と異なった方向に再延伸する場合に現れる局所変形の発生原因を弾塑性構成方程式を仮定した有限要素法解析で調査した. 有限要素法解析から推察される結果と再延伸前に試料に描いた格子線の実際の変形を偏光下で写真撮影し比較した. 局所変形は試料の弾性及び塑性異方性と試料両端固定クランプに原因することが判明した. 試料の再延伸方向への変形の依存性は, 試料面で延伸軸x1′及び垂直な方向x2′としたときの弾性コンプライアンスS′16及び塑性係数F'16で決定されるShear coupling効果の変化により定められる. S′16及びF′16ともロール方向と延伸方向とのなす角βを0°から90°へ変化させると最大, 最小を持つ曲線を示す. 局所変形はその二つの点の方向で延伸するとき明確に現れ, X線回折写真によれは, キンクバンドが最大値でなく, 最小位置に現れることを示している.

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© 社団法人 高分子学会
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