1983 年 40 巻 7 号 p. 449-456
無乳化剤乳化重合法で作製されたクリーンな表面を有する4種のポリマーマイクロスフィア (ポリスチレン, ポリメタクリル酸メチル, ポリアクリル酸メチル, 及びスチレン-メタクリル酸2-ヒドロオキシエチル共重合体) をそれぞれトリプシン吸着担体とし, 担体の表面性質, 特に表面親水度が吸着性及び吸着トリプシンの酵素活性に及ぼす影響について検討した. 吸着等温線は2段階曲線となり, ポリマー表面が疎水性であるほどトリプシン分子の吸着性は増大した. 吸着トリプシンの比活性は吸着量によって異なったが, ポリマー表面が親水性であるほどトリプシン分子は高活性を保持したままで吸着し, しかも熱や変性剤に対する安定性も良好であった. また, 親水性成分と疎水性成分との共重合体では, 高吸着性と同時に低吸着量でも高活性を有するという興味深い結果を得た.