1986 年 43 巻 5 号 p. 253-259
核置換ヒドロキノンと4,4′-ジフェニルジカルポン酸からなるポリアリラートは, 剛直構造にもかかわらず425℃以下で液晶を形成することを見いだした. クロルヒドロキノンまたはメチルヒドロキノンとテレフタル酸からなるポリアリラートの液晶形成能を500℃以下では確認できないこと, ポリエチレンー4,4′-ジフェニルジカルボキシラートの融点が355℃とポリエチレンテレフタラートの265℃よりもかなり高いことを考えると特異的な現象であることがわかる. そしてこの核置換ヒドロキノンと4,4′-ジフェニルジカルボン酸からなるポリアリラートにテレフタル酸を共重合したポリアリラートから高弾性率紡出糸の得られることがわかった. この紡出糸の破断面の走査型電子顕微鏡からフィブリルには流動方向に平行の針状フィブリルと流動方向に垂直の板状フィプリルのあること, 高弾性率繊維を得るには前者のフィプリルが必要であることがわかった.