潜熱型蓄熱材料としてポリエチレンオキシドを使用する場合の経時熱劣化の程度を推測するため, 1日1回の加熱-冷却サイクル (30~200℃, 30~150℃及び0~35℃) を設定し, 種々の分子量のポリエチレンオキシドの空気中における物性変化を測定した. その結果, 30~200℃及び30~150℃の加熱-冷却サイクルでは重量減少, 酸素含有率の増大, 融解温度と融解熱量の低下などがみられた. これは, 熱酸化分解によるポリエチレンオキシドの低分子量化と生成したラジカルの結合による高分子量化の同時進行によるものと考えられる. 低分子量のポリエチレンオキシドに対して低温の0~35℃の加熱-冷却サイクルを繰り返した場合には, 3カ月後あるいは6カ月後においても物性に変化がみられなかった. ポリエチレンオキシドの経時熱劣化に対して, ラジカル捕捉剤の添加による抑制効果がみられた.