高分子論文集
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ポリエチレングリコールの界面張力の分子量依存性
かせ村 知之山口 晴治畑 敏雄
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1987 年 44 巻 9 号 p. 657-662

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抄録

ボリエチレングリコール (PEG) の表面張力 (γ) は分子量 (M) にほとんど依存しないことが知られているが, 他の液体に対する界面張力 (γ12) は, その末端基 (OH又は-CH2-CH2-OH) と繰り返し単位 (-CH2-CH2-O-) の接触液体に対する親和性が異なるから, Mとともに変化することが予期される. PEGのポリエチレン (PE), エイコサン (非極性液体), 及びポリビニルカブロエイト (PVC6), ポリアクリル酸2エチルヘキシルとそのアクリル酸 (AA) 共重合体 (PEHA系) (極性液体) に対するγ12は, PEHA系のAA含量が10mol%のものを除いて, Mの増加とともに減少した. PEGと各試料に対するγ12と1/Mの間に良い直線関係が認められた. この結果は繰り返し単位の接触液体に対する親和性の方が末端基のそれより大きいことから説明される. PEGのPEHA系に対するγ12はAA含量の増加とともに減少し, AA側鎖の界面への選択的吸着が示された. Good-Girifalcoの式の相互作用のパラメーターφと斎藤の式の界面相における成分のモル分率ψによってPEGと他の試料間の親和性を検討し, これらのパラメータが2相間の親和性の尺度として有効であることを示した. PE上でのPEGのcosθはMとともに増加し, cosθと1/Mの間に直線関係が成り立つことを明らかにした.

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