高分子論文集
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繰り返し単位当たり一個のオリゴ糖誘導体をもつポリスチレンの合成と, レクチン及び赤血球との相互作用
小林 一清住友 宏平手 美式赤池 敏宏
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1988 年 45 巻 12 号 p. 919-924

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抄録

ベンゼン環のパラ位にセロビオース及びメリビオースの誘導体をもつスチレン [N-p-ビニルベンジル-O-β-D-グルコピラノシル- (1→4) -D-グルコノアミド及びN-p-ビニルベンジル-O-α-D-ガラクトビラノシル- (1→6) -D-グルコノアミド] を合成し, そのラジカル単独重合を60℃の水中で行って, 重合体 (それぞれPVCA及びPVMeAと表示する) を得た. 既報の6種類のオリゴ糖置換スチレン重合体と併せて, 赤血球の凝集反応を利用して, オリゴ糖鎖の分子認謝幾能を調べた. コンカナバリンAによる赤血球の凝集反応は, α-D-グルコース糖鎖末端をもつマルトース, マルトトリオース, マルトベンタオース, 及びマルトヘプタオースから合成した重合体により阻害された。その阻害活性は原料のオリゴ糖よりも約103倍高かった. 重合体が繰り返し単位当たりに一個のオリゴ糖鎖をもっので, それに基づく高分子効果が発現したものと考えた. また, PVCA以外のこれらの糖質重合体はそれ自身赤血球を凝集する作用をもち, なかでもPVMeAの赤血球凝集活性が著しく高いことを見いだした.

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