高分子論文集
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p-ヒドロキシ安息香酸を含むサーモトロピック液晶コポリエステルの超高弾性率ロッド
糸山 國義山川 隆道
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1988 年 45 巻 12 号 p. 925-935

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抄録

p-ヒドロキシ安息香酸 (HBA) を60, 70mol%含む全芳香族コポリエステル (WACP) について超高弾性率ロッドの物性・構造を研究した. ネマティック融液を1~5mm径のダイスから押出し, それを伸長変形してロッドを成形した. 一定温度で, 伸長倍率 (λ) を変数にとって分子配向度の異なるロッドを調整し, 広角X線散乱, 走査型電顕 (SEM) を用いてその構造の変化を調べた. 同一試料径で比較すると, 径の大きいダイスを使って高倍率に伸長した試料ほど高い引張弾性率 (Es) 及び結晶配向係数 (Π) を示した. 高伸長倍率のロッドの表層, 中央部では, 伸長方向に高度に配向したフィブリル組織をSEMによって観察した. また, 径5mmのダイスから成形したロッド断面の径方向のEsとΠの分布を測定した. 低伸長倍率のロッドほど, 表面から中心部に進むに従ってEsとΠの値は急激に低下した. しかしながら, 表層部のEs, Πは融液の伸長倍率によらず比較的に高い一定値にとどまった. 高分子量WACPでは, ロッド表層と中央部間のEs, Πの差は小さくなり, 70mol%HBAを含むWACPのロッドは, 1.2mm径で90GPa, 2.2mm径で61GPaの高い曲げ弾性率を示した.

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© 社団法人 高分子学会
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