高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
ポリテトラヒドロフランの結晶弾性率の温度依存性
西野 孝杉橋 達也中前 勝彦
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 45 巻 12 号 p. 979-984

詳細
抄録

結晶内で分子鎖が平面ジグザグ構造を有するポリテトラヒドロフラン〓CH2CH, CH2CH2O〓nの分子鎖軸方向の結晶弾性率Elの温度依存性を測定した. (3110) 面にっいて測定したEl値は-135℃以下の低温域では183GPaと一定であったが, それ以上の温度域で急激に減少し, 18℃では37GPaとなった. さらに, (3110) 面の面間隔の温度変化において-120℃に屈曲点が存在し, この温度域以上で分子鎖は熱収縮した. したがって, -135℃以上でのElの低下は結晶内分子鎖の運動性の増大に基づくものであり, 分子鎖は室温で完全に伸び切った構造を有しているのではなく, 力学的な面より見た場合. 熱振動によりかなりの程度短縮しているものと考えられた. 一方, -135℃以下の温度域で熱振動は抑制されるが, この温度域においても主鎖のエーテル結合が他の結合角と異なることから直線からの分子鎖のずれが残るものと考えられた.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top