1988 年 45 巻 5 号 p. 417-422
ポリバラキシリレン (PPX) 及びポリモノクロロパラキシリレン (PCPX) の薄膜 (厚さ7-10μm) 表面に室温でコロナ荷電し, それらの表面電荷の減衰及び表面電荷の熱安定性を調べた. いずれの試料もコロナ荷電直後の表面電荷は急速に減少したが, あらかじめ両極をショートした後では表面電荷減衰は大分遅くなる. それらの表面電荷は温度上昇とともに減衰し, 60℃で初期電荷の半分が消失したので熱安定性はあまり良くない. 分極処理した試料の熱刺激脱分極電流 (TSDC) は種々の温度域でピークを示し, それらのピーク温度のいくつかは従来の粘弾性測定によって得られた種々な分子運動の開始する温度域に良く対応していた. PPX及びPCPXの室温における電気固有抵抗率が比較的低いため, エレクトレット材料としての利用にはあまり適さないようである.