高分子論文集
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スチレンアイオノマー膜の水蒸気収着・拡散挙動
安田 道生辻田 義治滝沢 章木下 隆利
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1989 年 46 巻 6 号 p. 347-351

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抄録

スチレンメタクリル酸共重合体のNa塩アイオノマーは親水性のイオン会合体と疎水性のマトリックスを持つが, このような系においてイオン会合体が水分子の収着及び拡散にどのように影響するのか, また, 水分子がイオン会合体及びその周辺の構造にどのように影響するのかを検討した. SAXS測定から相対蒸気圧が増すに従い, イオン会合体半径が増加しイオン会合体の膨潤が観察された. ポリスチレンでは相対蒸気圧が1.0においても0.1%程度の水蒸気収着量しか示さないが, 最も低い酸含量の試料S-0.025MAA-Naにおいても相対蒸気圧0.94で2.1%であり大幅に収着量が増し, 収着等温曲線はシグモイド型を呈した. アイオノマーにおける水分子の拡散挙動は親・疎水性高分子の特徴を合わせ持っており, 低相対蒸気圧側ではイオン会合体の膨潤に伴い拡散係数は増加し, 高相対蒸気圧側では疎水性水和水が水のクラスターを形成することにより拡散係数は減少した.

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