高分子論文集
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マイクロバルーン充てん複合材料の断熱特性
佐藤 貞雄田所 康夫高橋 朋子大柳 康
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1989 年 46 巻 6 号 p. 353-359

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抄録

各種MBを20~30vol%含有するUP複合材料の熱伝導率を実験式によって推定する方法について検討した. さらに, これら複合材料の熱特性を明らかにするために断熱性に及ぼす充てん材の影響と熱伝導率の温度依存性, 及び同複合材料の機械的強度と耐湿耐久性について実験的に検討した.
その結果, 次式で推定した複合材料の熱伝導率は実測による熱伝導率に近似 (±10%) することが明らかになった.
λ'cm0+Vff0m0) -1/2 (Km+Kf) ・τ (1)
ただし, Vf=0のとき, Km=Kf, またλm0f0である. ここで, λm0, λf0は母材と充てん材の0℃における熱伝導率, Vfは充てん材の体積含有率, Km, Kfは母材と充てん材の熱伝導率に対する温度定数, τは温度である.
Alで表面をコーテングしたAFMBを除く他のMBを含む複合材料の熱伝導率は充てん量の増加, 温度上昇とともに直線的に減少する. 特に, PMBを60vol%含む複合材料の断熱性は密度が母材の55%になるため著しく向上する. しかし, 吸水量の増加とともに断熱性は漸次低下する. さらに, 曲げ, 圧縮及び衝撃強度はいずれも充てん量の増加とともに減少する. また, 6カ月後の耐湿圧縮強度保持率はGMB含有のものを除いて62~82%保持する. アイゾット衝撃強度は1.6~3kgf-cm/cmとなり, 湿度による衝撃強度の低下は少ないことがわかった.

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© 社団法人 高分子学会
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