高分子論文集
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下限臨界共溶温度をもつ高分子の油-水界面への吸着性
古澤 邦夫有賀 英久田川 徹
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1989 年 46 巻 6 号 p. 361-366

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抄録

油-水界面への高分子の吸着挙動や界面でのコンホメーションに関する知見を得るためにいろいろな条件下で油-水界面張力を測定した. 高分子には, hydroxypropyl cellulose (HPC) を用い, その分子量とバルク中の濃度の影響を油相の種類や系の温度を変えながら調べた. 油-水界面張力 (γ) の経時変化はHPCのバルク濃度 (Cp) に大きく影響された. また, 平衡到達後のγ値は主に系の温度や, 油相の極性に依存することがわかった. 界面に形成された吸着量を繰り返し圧縮-拡張した際のπ-A曲線を比較することにより吸着したHPC分子の親和力の強さに関する他の知見が得られた. これらすべての結果は, 実測されるγ値の変化が界面に吸着した全セグメントではなくその内のtrain層のセグメント数だけに関係していると考えるとうまく理解された. さらに, HPCが平衡吸着した後に系の状態, 特に温度を変化させてγ対温度変化の軌跡を描くとHPC吸着に関する新しい情報が得られ, HPCの吸着はバルク中でのコンホメーションに依存し, 温度変化に対しては不可逆的であることがわかった.

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© 社団法人 高分子学会
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