高分子論文集
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プロパルギルアルコールをモノマーとするプラズマ重合膜の耐水性
吉村 菊子岡元 由紀子穂積 啓一郎
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1995 年 52 巻 2 号 p. 76-82

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抄録

2-Propyn-1-ol (propargyl alcohol) をモノマーとして, ポリメタクリル酸メチル平板上にプラズマ重合を行い, 空気中および水中保存中の重合膜の親水性および可視光透過特性の変化とともに, 重合膜表面形態の顕微鏡観察によって耐水性を評価した. 臨界表面張力は, Zismanプロットで外挿すると, 重合時の電力が2Wでも5Wでも38dyn/cmとなるが, 試験液の極性を考慮にいれたRabelの理論で求めると, 2Wで63dyn/cm, 5Wで45dyn/cmと得られた. 試料を空気中または水中で15日間保存すると, 水の接触角は2Wで40°から約55°に増え, 5Wでは約60°の変化ない値となった. 2Wで作った重合膜の可視光の透過率は, 水中保存で最初の値から最低85%まで低下し, 空気中保存ではこれより低下量が少なかった. 5Wで作った重合膜は保存状態によらず変化がなかった. 表面を光学顕微鏡 (×500) で観察すると, 重合時2W, 5Wとも水による膨潤で生じたと考えられる隆起が見られたが, 重合膜のはく離やき裂は全く認められなかった. 以上の実験より, このプラズマ重合膜は比較的長期にわたり, 高い親水性, 光透過性, 耐水性のあることが認められた.

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