抄録
ベース樹脂, 溶解抑制剤および酸発生剤からなる化学増幅系3成分ポジ型レジストにおいて, 溶解抑制剤は露光で発生した酸により溶解促進剤になる. 今回, 溶解促進剤の酸性度 (pKa) に着目し, 溶解促進剤と露光部の溶解速度との関係を検討した. ベース樹脂にポリ (p-ビニルフェノール) (PVP), 溶解促進剤にカルボン酸誘導体を用いモデル膜を作製した. カルボン酸誘導体の添加量が多いほど, またカルボン酸のpKaが小さい (酸性度が高い) ほど, モデル膜の溶解速度は大きくなることがわかった. カルボン酸の溶解促進効果は, 現像液中に大量に存在する塩基成分が膜中のカルボン酸と選択的に中和反応を起こし, 塩が溶出することにより, PVPと塩基との反応確率が増加し, 生じると考えられる. 高解像度レジストに必要なレジスト露光部の溶解速度向上には, 露光後に高酸性度を示す溶解抑制剤を用いることが効果的である.