抄録
ポリ (エチレンテレフタレート) (PET) 繊維を1.5倍, 2.5倍, および3.5倍にゾーン延伸し, 得られたゾーン延伸繊維の複屈折と応力を昇温させながら同時に測定した. まず, 各ゾーン延伸繊維の複屈折, 結晶化度, DSC, TMA測定, および広角X線写真などからは, 1.5倍と2.5倍延伸繊維では結晶生成は認められず, 3.5倍延伸繊維では配向結晶化で生成した微結晶が存在していることが確認された. 次に, これら繊維に数%の一定ひずみを加えた状態で, 複屈折と応力を25℃から200℃までの温度範囲で測定した. 各ゾーン延伸繊維とも室温からガラス転移温度付近までの温度域では複屈折はほぼ一定であるが, 応力は急激に低下する. ガラス転移温度以上の温度域では, 1.5倍延伸繊維の複屈折と応力は共に低下する. 一方, 2.5倍および3.5倍延伸繊維の複屈折は急激に増加し, この複屈折の増加に伴い応力は低下する. このような複屈折と応力の変化は, 配向した結晶核および微結晶が測定中に延伸軸方向へ成長したことを示唆する.