近年発展してきた変調法熱測定によるガラス転移点近傍での熱測定について, 変調法の特徴・実験装置の構造, データ解釈の方法などの基礎的な面に留意しながら報告する. 著者らの研究室では変調法熱測定装置として, 交流法カロリメトリー (acカロリメトリー) 装置および光加熱による動的示差走査熱量計 (ダイナミックDSC) を製作した. 本文では, アタクチックポリプロピレン, 低分子量ポリスチレンのacカロリメトリーおよびポリスチレンの光加熱ダイナミックDSCの測定結果を示す. これらの結果は, 変調法熱測定が高分子の動的熱容量測定に利用しうること, 熱履歴の研究に有力な方法となりうることを示している.