1996 年 53 巻 12 号 p. 834-841
CO2とCH4の拡散係数とオルソーポジトロニウムの寿命τ3と強度I3とを5種類のポリマーについてガラス転移温度TgからTg-150Kの温度で測定した. Tg-90K以上の温度で, τ3とlog (D/T) の間にかなり良い相関関係があった. ガラス状態での自由体積のサイズ分布が指数関数的であると仮定して, 自由体積孔の平均サイズ〈vh〉をτ3から評価した. ガラス状および以前に調べたゴム状ポリマーについて, log (D/T) と1/〈vh〉との間に良い相関関係があった. このことは, 拡散に対する自由体積モデルがゴム状態でと同様にTgからあまり低くない温度のガラス状態に適用できることを示す. ガラス状態でも, 比較的サイズの小さな自由体積孔の生成と消滅が高分子鎖や側鎖の局所運動により容易に起こり, ペネトラントの拡散ジャンプがゴム状態でと同様に起こっていると考えられる.