高分子論文集
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ポリ (エチレン-co-ビニルアルコール) /ナイロン6ブレンドの相溶性
山口 典孝秋山 三郎床尾 万喜雄
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1996 年 53 巻 12 号 p. 842-845

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抄録

本研究では, 結晶性/結晶性ポリマーブレンドである, ポリ (エチレン-co-ビニルアルコール) (EVOH) /ナイロン6 (PA6) 二成分系の相溶性の測定を, 示差走査熱量計 (DSC) と動的粘弾性測定 (DMA) により行った. 融点以上から室温まで徐冷した試料のDSC測定から得られたガラス転移温度 (Tg) は, 融点以上の熱処理時間により変化し, 15分間以上熱処理を行えば, Tgがシャープに観察できることを見いだした. この手法により得られたTgは, 相溶ポリマーブレンドにおいて, 一般的にみられる組成依存性を示すGordon-Taylorの式に適合し, 各成分の結晶存在下において, 本系のアモルファス相は, 相溶であることを明らかにした. 試料を融点以上で熱処理し急冷した試料のDMA測定から得られるガラス転移温度に由来する動力学損失正接tanδ-温度曲線のピークの形状は, シャープで単一な形状で, そのピーク温度 (TDmax) の組成依存性もGordon-Taylorの式に適合し, 本系が融点以上においても相溶することを見いだした.

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© 社団法人 高分子学会
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