ガラス転移温度 (Tg) に大きな差をもっ成分ポリマーから成る二成分ポリマーブレンド (重水素化ポリスチレン/ポリビニルメチルエーテル混合系) において, 一相状態にあるブレンドのTg近傍で濃度揺らぎの異常な挙動が小角中性子散乱法により観測された. すなわち, Tg近傍において長波長の濃度揺らぎが抑制され, 小角側の散乱強度が小さくなる挙動が観測された. さらに, このTg近傍ではFlory-Huggins相互作用パラメータχがq依存性を持ち, その相互作用距離は数ナノメートルにも及ぶ. この異常な濃度揺らぎの挙動からこの種のポリマーブレンドにミクロ相分離の可能性が存在することを指摘する.