抄録
種々の脱アセチル化度 (DD) を有するキチンとポリビニルアルコール (PVA) とのブレンドフィルムを, 酢酸水溶液からのキャスト法, あるいは, ジメチルアセトアミド-塩化リチウム溶液からの凝固再生法によって作製し得た. DSC熱分析および動的粘弾性測定によりブレンド試料の転移挙動と相構造を考察し, 両成分の相溶性に及ぼすキチンの部分脱アセチル化の効果を調べた. DD≈50%のキチンとPVAとのブレンドでは, キチン含有率の増加に伴ってガラス転移温度 (Tg) が高温側へとシフトし, 同時にPVA結晶の融点が系統的に降下するのが認められた. このようなブレンド組成に依存したTgシフトおよび融点降下現象は, キチン成分のDDが40~60%の場合に明瞭に観測され, DDがこの範囲外にあるときにはそれほど顕著ではない. これより, DD=40~60%のキチンを用いた場合には, 非晶領域で特に良好な相溶状態にあるキチン/PVA系ブレンド膜を調製しうることがわかった.