抄録
芳香族多置換カルボン酸を開始核とした新規な星型ナイロン6を合成し, その熱的特性を調べた. 星型ナイロン6の融点は, 開始核から伸びる腕鎖数が増えるに従い低下した. 融点の低下には, 腕鎖の分子量の影響が大きかった. 融解熱も, 腕鎖数が増えるに従い低下した. 融解熱の低下には開始核の影響が大きく, 開始核付近の結晶化に関与できないナイロン6分子鎖の割合が増えるためと考えられる. また, 腕鎖数が増えるに従い, ガラス転移温度は上昇した. 開始核が架橋点として働き, ガラス転移温度の上昇につながったと考えられる. この場合, 開始核のサイズの影響も大きいことが分かった. また, 融点の低下のため, 結晶化速度は遅くなった. 星型ナイロン6の熱的特性は, 開始核からの腕鎖数, 腕鎖の分子量, 開始核のサイズに影響されることが分かった.