高分子論文集
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ホルムアルデヒド架橋ゼラチン膜の特性に及ぼすポリエチレングリコール添加効果
前田 拓也元吉 治雄
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1997 年 54 巻 3 号 p. 138-143

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抄録

分子量の異なるポリエチレングリコール (PEG) を添加したゼラチンゲルを乾燥した後, ホルムアルデヒド (FA) 蒸気と反応させて架橋した膜の物理的・化学的特性および生分解性を研究した. PEGの添加により柔軟性と靭性が付与された. 正常な膜を得るためのPEG添加量の上限や膜の外観がPEGの分子量により変化した. 架橋時間が長くなると, FA蒸気が膜表面から内部に浸透して架橋結合を形成し, 水への溶解性を低下させた. PEGがFA蒸気の浸透媒体として膜内部の架橋反応を促進する作用はその分子量によって異なるため, 膜の溶解挙動に差異が観察された. PEGの分子量が大きいほど膜の耐熱性が高く, また湿度を変化させたときの吸湿度の差が小さかった. 引張強さは, PEGの添加により低下し, 添加量が多くなると低下の傾向は顕著になった. 延伸率と引裂強さは, 高湿条件において, 分子量と添加量および架橋時間により差異が認められた.

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