ガラス繊維強化ポリアミドの応力制御疲労過程における試験片表面の発熱温度を各種温度, 周波数, 応力条件下で測定した. 試験片表面の発熱温度は, 疲労初期と後期のごく短い時間で急激に上昇するが, それを除く疲労中期では比較的安定した温度状態を示すことが観察された. 疲労過程のほとんどの期間を占めるこの疲労中期の発熱温度は疲労寿命を決める重要な因子の一つであると考えられる. 本研究では, この疲労中期の発熱温度について, 梶山, 高原らのひずみ制御疲労における発熱温度の提案式をもとに, 疲労条件と材料の粘弾性特性値から計算により予測するための実験式を導いた. 発熱温度△Tは, 次の関係式で表わされる. △T=φ (L, κ) Pfatここで, φ (L, κ) は放熱や試験片形状に関する係数項, Pfatは粘弾性特性と疲労条件に関する関数項である. 前者はガラス転移温度を境に異なる値をとるため, △Tの周囲温度依存性は2領域に分割される. 両域ともに, 計算値と実測値が良く一致することを確認した.