ゲル量を変えたポリブタジエンラテックスに, 乳化重合によりグラフト率を変えて重合したモデルABSサンプルを作成し, 動的粘弾性とパルスNMRによる横緩和挙動を測定した. これらの測定により得られた架橋構造パラメーターと衝撃強度の関係について検討した. アイゾット衝撃強度は, ゲル量50%, 70%ではグラフト率とともに上昇したが, ゲル量80%ではグラフト率に依らず低い値となった. ゲル量80%のポリブタジエンは, グラフト重合時の開始剤ラジカルによって架橋しやすいことが, 動的粘弾性とパルスNMR, 電子顕微鏡観察の結果から示唆された. さらに, GPC. LALLSにより, ゲル80%のポリブタジエンに分岐が多いことが明らかになった. したがって, 衝撃強度にはポリブタジェンの架橋構造 (架橋度, 分岐) の影響があることが明らかになった.