高分子論文集
Online ISSN : 1881-5685
Print ISSN : 0386-2186
ISSN-L : 0386-2186
ABS樹脂の架橋構造と物性
井川 清阪野 元玉井 清二高橋 和則小島 洋
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 54 巻 3 号 p. 148-155

詳細
抄録

ゲル量を変えたポリブタジエンラテックスに, 乳化重合によりグラフト率を変えて重合したモデルABSサンプルを作成し, 動的粘弾性とパルスNMRによる横緩和挙動を測定した. これらの測定により得られた架橋構造パラメーターと衝撃強度の関係について検討した. アイゾット衝撃強度は, ゲル量50%, 70%ではグラフト率とともに上昇したが, ゲル量80%ではグラフト率に依らず低い値となった. ゲル量80%のポリブタジエンは, グラフト重合時の開始剤ラジカルによって架橋しやすいことが, 動的粘弾性とパルスNMR, 電子顕微鏡観察の結果から示唆された. さらに, GPC. LALLSにより, ゲル80%のポリブタジエンに分岐が多いことが明らかになった. したがって, 衝撃強度にはポリブタジェンの架橋構造 (架橋度, 分岐) の影響があることが明らかになった.

著者関連情報
© 社団法人 高分子学会
前の記事 次の記事
feedback
Top