高分子論文集
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インバースガスクロマトグラフィーによるポリ (p-フェニレンスルフィド) と各種溶媒との相互作用
田崎 美智子岡部 勝本間 輝武
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1997 年 54 巻 7 号 p. 445-450

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抄録

結晶性高分子のポリ (p-フェニレンスルフィド) (PPS) の特性をインバースガスクロマトグラフィー (IGC) で調べた. 担体のクロモソルブ (不活性化処理をしたケイ藻土) を伴ってPPSをα-クロロナフタレン (α-ClNAP) に高温で溶解させた. 溶液は冷却するとゲル化するが, このまま溶媒を除去するとPPSはクロモソルブの表面に粒子状あるいは薄膜となって析出してくる. この方法によってPPSを定量的にクロモソルブに担持させ. それをIGCのカラム充填剤とすることができた. 100~310℃の広い温度範囲にわたってIGCを行い, 各種溶媒 (プロ-ブ) の保持容量を測定し, 比保持容量を求めて, PPSとプローブとの相互作用について検討した. これらのうち, PPSはα-ClNAP, N-メチル-2-ピロリドン (NMP), およびテトラリン (TET) などど強い相互作用があることが明らかとなった. また融点と結晶化度をレテンションダイヤグラムから求めてみると, それぞれ280℃, 36%であった. この融点はDSCで得られた値と一致した. しかし, 結晶化度については比較する適当な手法が今のところ見あたらない.

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