高分子論文集
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チエノピラジンを主鎖に含む低バンドギャップπ-共役系ポリマーの合成
田村 裕山中 晋松田 浩二小西 徹
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1998 年 55 巻 5 号 p. 277-283

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抄録

チエノピラジンの2, 3位に種々なアルキル基やフェニル基を導入したポリマーを, 塩化銅 (II) を用いた酸化重合により合成した. メチル基を有するモノマーからは, チオフェンのα位とメチル基が連結した不規則構造を含むため, 主鎖の共役系の発達は不十分であった. それ以外のモノマーからはチオフェン環で連結したポリマーが得られ, 分子量はモノマーの立体的因子や置換基の種類に影響されることがわかった. また, VIS-NIRスペクトルやサイクリックボルタモグラムの測定から, 0.5eV程度の非常に小さいバンドギャップを示し, 共役系が高度に発達していることが示唆された. 本ポリマーは通常のポリマーに比べて高い電子親和力を有しており, ヨウ素によるp型ドーピング (4×10-7~3×10-3Scm-1) に比べ, ナトリウムナフタレンによるn型ドーピング (2×10-2~3×10-2Scm-1) において, より高い導電率を示した.

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