1998 年 55 巻 5 号 p. 284-291
固体高分解能13CNMR法を用いて, ポリ-2-ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリメタクリル酸 (PHEMA/PMAA) ブレンドの相溶性と脱水反応機構について検討した. 13CNMRスペクトルのカルボニル基領域における化学シフト値の変化から, ブレンドの構成ポリマー間で水素結合の存在が示唆された. また, 13C核から間接的に測定した, 1H核のスピン-格子緩和時間と温度変調DSCの測定から, PHEMA/PMAAブレンドは5~10nmの領域内において相溶していることが明らかとなった. PMAAは, 熱処理することにより分子内脱水反応を起こして六員環無水物となるが, ブレンド中においてその側鎖はPHEMAの側鎖と分子間で脱水反応を起こすことが示された.