高分子論文集
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マクロモノマーの重合による立体規則性グラフトおよび分岐ポリマーの合成
圓藤 紀代司妹尾 政宣
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2000 年 57 巻 12 号 p. 770-780

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抄録

リビング重合法で合成した末端スチレン型ポリイソプレンマクロモノマー (SIPM) をトリクロロ (η-シクロペンタジエニル) チタニウム (III) -メチルアルミノキサン (CpTiCl3/MAO) 触媒を用いてスチレンと共重合を行うことにより, 高いシンジオタクチック立体規則性の主鎖を有するグラフト共重合体を合成した. グラフト鎖の数はSIPMとスチレンの仕込み組成比により制御が可能であった. また, 末端スチレン型ポリスチレンマクロモノマー (SSTM) を合成し, 上記メタロセン触媒を用いてスチレンとの共重合を行い, 主鎖と側鎖で立体規則性のみが異なるポリスチレングラフト共重合体を合成した. 得られたポリマーの示差走査熱量測定および広角X線回折測定の結果から, 主鎖との相溶性に起因してグラフト鎖の導入によりポリマーの結晶性が著しく減少することがわかった. さらに, CpTiCl3/MAO触媒によるマクロモノマーの単独重合により, 主鎖が高いシンジオタクチック立体規則性を有し, しかも主鎖の繰返し単位が必ず1本の分岐鎖を有するくし状ポリマーを合成した. 一方, ビス (アセチルアセトナト) ニッケル (II) (Ni (acac) 2) -MAO触媒を用いてマクロモノマーとスチレンの共重合を行い, 高イソタクチック立体規則性の主鎖を有するグラフト共重合体を合成した. SIPMとエチレンおよびプロピレンとの3元共重合体の合成ならびにシンジオタクチックグラフト共重合体を開始点としたイソプレンのリビング重合によるABAブロック共重合体の合成を行い, 新規エラストマーとしての可能性を明らかにした.

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