高分子論文集
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シリカ架橋ポリカーボネート材料の合成とその特性
荒川 源臣島田 雅之上利 泰幸須方 一明
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2000 年 57 巻 4 号 p. 180-187

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抄録

近年, 有機・無機ハイブリッド材料が盛んに研究されているが, 高性能・高機能が要求されるエンジニアリングプラスチック (エンプラ) を用いた例は少ない. 筆者らは代表的なエンプラであるポリカーボネート (PC) を用いて検討し, 更なる特性の向上を目指した. まず, ビスフェノールA系PCの両末端にトリエトキシシリル基を有するPCオリゴマー (PCS) を合成した. 次にPCSのゾルーゲル反応を行い, 有機・無機ハイブリッドPCフィルム (PCS-F) を作製した. このPCS-Fの耐熱特性, 表面硬度および機械的特性を従来のPCと比較した. PCS-FはTgがPCより高温側にシフトし, 広いTg領域を示した. また, Tg以上の温度域で昇温に伴う貯蔵弾性率の低下がPCより緩やかであり, 優れた耐熱性を有していた. さらに表面硬度や機械的特性もPCより向上していた. これらの結果より, PCS-F中のPCセグメントはシリカ成分と共有結合していると判断した.

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© 社団法人 高分子学会
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