2000 年 57 巻 4 号 p. 251-253
筆者らは, シリカのような無機表面と細胞膜類似の二分子膜構造を有する有機・無機ハイブリッド型の細胞モデルセラソーム (Cerasome) を新たに開発した. トリエトキシシリル基を頭部に有するジアルキル型化合物をさまざまなpH条件下の水中に分散したところ, pH3の条件がCerasome作製に適当な条件であることが明らかとなった. これは, この条件下でトリエトキシシリル基の加水分解が段階的かつ適当な速度で起こり, 部分的な加水分解のあとのべシクル形成を経てからその表面でのさらなる加水分解の進行とシリカ骨格の形成が起こるためであると考えられた. また, これらのCerasomeが集積した多細胞型の構造も確認された.