高分子論文集
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光誘起表面レリーフの形成
福田 隆史
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2003 年 60 巻 8 号 p. 428-441

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抄録

アゾベンゼン化合物は多様かつユニークな光機能を呈するため, 従来より研究が広く進められてきた系である. しかしながら, 近年, 青-緑色の光を照射することによってアゾベンゼンを含むアモルファス高分子薄膜の表面にnmからμmスケールの凹凸を可逆的に形成できるというまったく新しい現象 (光誘起表面レリーフ [PSR] の形成) が報告され, 基礎科学. 応用工学の両面から改めて強い関心を集めている. 本報では, これまでに筆者らが明らかにしてきた実験事実などをもとに, PSR形成現象に関する特徴や現象の特異性について紹介を行う. また, それらを踏まえた上で, PSR形成機構 (とくに光誘起物質移動プロセス) について粘性流体モデルを提案し, そのモデルによって現象が定量的に記述できることを示す. さらに, PSR形成特性と化学構造との関係, あるいは, 今後期待される種々の応用展開についていくつかの例を示す. そのほか, 残されている課題などについても言及する.

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