導電性高分子材料の導電性とガス吸着性を組合せれば, 空気中で電場駆動する新規アクチュエータへの応用が可能である. 電解重合により作製したポリピロールフィルムが水蒸気の吸脱着により高速変形する現象を見いだし, 分子の吸脱着を直接, 回転運動に変換する高分子モーターを作製した. また, 数ボルトの低電圧印加によりフィルムが水蒸気を脱着しながら収縮することがわかった. 2V印加によりフィルムは6MPaの収縮応力を発生し, 60gの荷重を印加したときの出力密度は0.8W/kgであった. 応力-ひずみ曲線より算出した仕事容量は印加電圧とともに増大し, 3Vで48kJ/m3に達した. さらに, ポリピロールフィルムを折り曲げて作製したバネ状アクチュエータが, 2V印加により空気中で30%以上可逆的に伸縮することが明らかになった.