高分子論文集
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生体温度で機能する液晶ゲルソフトアクチュエーターの開発
金子 達雄
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2005 年 62 巻 8 号 p. 373-379

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抄録

疎水性のメソゲン基の近傍に親水性のアクリル酸を共重合により存在させると, スメクチックA (SmA) 相の層構造秩序が増大し, 等方化温度が上がる現象が見られた. 乾燥状態で配向した繊維を水中に浸すことにより分子配向した液晶性ヒドロゲルを初めて作製した. 本ヒドロゲルは含水率の変化によりSmA相からスメクチックI (SmI) 相へ構造転移を示し, 続く延伸処理において逆のSmI-SmA構造転移を示した. さらに, 加熱時には40℃付近で同様のSmI-SmA液晶相転移を示した. そこで, 配向ヒドロゲルの片端を固定し, ゆっくりと昇温すると, 相転移温度付近で収縮挙動を示した. 構造と運動機能との相関を調べたところ, 液晶相転移とそのメカニクスには強い相関があることが見いだされた. 以上により, 液晶-液晶転移が等方化温度よりも低いことを利用し, 水中でかつ体温領域で運動性を示すアクチュエーターを作製することができた.

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