2014 年 32 巻 p. 51-55
要 旨 エキウム・カンディカンスを密源とした2013年度産ハチミツ(エキウム・カンディカンスハチミツ)の品質を評価するために、イオン液体を用いたSEM観察法を利用して、ハチミツ中の混入花粉の同定および定量を行った。エキウム・カンディカンスハチミツには、少なくとも21種以上の花粉が観察された。エキウム・カンディカンス花粉の占める割合は50%以下であった。セイヨウミツバチが利用する蜜源植物と花粉源植物が必ずしも同一でないためと推察された。よって、花粉による単花ハチミツとしてのハチミツ純度の判定は難しいと考えられた。エキウム・カンディカンスハチミツ中に含まれるエキウム・カンディカンス由来の花粉粒数は、ピロリジジンアルカロイドを含む花粉によって安全性が問題視されているエキウム・ブルガレハチミツ中に含まれるエキウム・ブルガレ由来の花粉粒数に比べると、2.9%という低い割合であった。エキウム由来の花粉粒数の絶対数の少なさから判断して、エキウム・カンディカンスハチミツにおける健康被害のリスクは低いと考えられた。